楽天ブックス用の特典「悪ウサドライバー(ねじ回し)」のこと(続き)

 ねじ回しを一つ付録にするのにも手間がかかる。やってみなければわからんことってのは,実は楽しい。編集作業は案外,ルーチンワークのときもあるので。
 マップスhttp://www.maps.co.jp/)の関連会社の紙宇宙(http://www.kamiuchu.jp/)で箱を制作することになった(イレギュラーな商売で迷惑をかけてしまった)。
 初期プランでは,aicoさんがCS(イラストレータ)を駆使して作図する,ということも考えたが時間がネックなので,やはり手書きで箱の版下を作ることになった。その前にドライバーのような立体物を箱に収めるためには,単に,W×H×Dがわかっていればよいというものではない。やはり実物が必要だ。サンプルのドライバーが手元にないので,東急ハンズで探し,Loftで探し,最後になぜかBICカメラで同型の製品を手にいれた。案外ない製品だ。しかも700円ほどした。それだけでは不安だったので,Amazonでも入手した。また800円ほど自腹。他に欲しいドライバーが見つかって,それも思わず買ってしまった。無駄遣いである。ちなみに,同型のものを買うと店頭では500円程度だ。これが本の付録になるのだから,考えてみたらかなりお得な付録だ。しかも限定品だし。

 これを業者さんに送り,箱の原型を作ってもらった。さらに展開図の型をもらった。
それがこれだ。

 イラストは,4面ごと,上面・下面には当社とディレクターズのロゴを配置。

 イラストは手書きをスキャンして元データに貼り付けた。できあがりの展開図はこんな具合。版下校正時にあとからaicoサインをいれた。

そしてできあがりの箱はこれだ!

 黄色いボトルは,ディレクターズ謹製のミネラルウォーターだ(打ち合わせに行くと飲めますよ!)。ドライバーと対比はこんな具合。

楽天ブックス用のシュリンクパッケージの見本。楽天ブックスで購入された方にはこんな形で届いたのではないだろうか。万全の対策である。これも当社販売促進部の一工夫のおかげだ。

箱は純白で線画オンリー。でも,この箱がaicoさんのペンタッチを忠実に再現している。ということで,色を塗ってみると,とても楽しい箱になる(アルバイトのH嬢の作品)。

 「悪ウサドライバー」1000個を一つ一つ小悪魔白箱に詰めたのは,ディレクターズの皆さんである。手作業で1000個を二日がかりで梱包してくださったのだ。ここにお礼を申し上げたい。

 そんな楽天ブックスの購入特典ですが,おかげさまですが,じつはもうちょっとでなくなるかも。おはやめに注文ください。僕も担当者なのにaicoデザインの「悪ウサドライバー」は持ってなかったりします(汗。それだけ限定品ってことです。

あとは,Amazonキャンペーンの話を書かねば。

楽天ブックス用の特典「悪ウサドライバー(ねじ回し)」のこと

 村井先生との面談の後,ディレクターズの加藤社長,aicoさんとアークヒルズ内の喫茶店で一休みした。

 そこで私は,加藤社長に出版するにあたりAmazonキャンペーンをしようと提案した。頭にあったのは,エリエスブックコンサルティングの土井さんと,お宝不動産の沢さんだった。
 お二人とも,Amazonキャンペーンのベテランである。
 近々では,

20代で人生の年収は9割決まる

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 で4週連続のAmazonキャンペーンを行っている。結果は言うまでもないだろう。大ヒットである。
 ちなみにこの本の中で,コンピュータ書でおまけ付きキャンペーンを行ったという逸話を掲載している。これは翔泳社の名編集者である毛利さんの『FreeBSDバイブル』の話だと思われる(毛利さんは,現在フリーで仕事をされている→できるポケット Facebookをスマートに使いこなす基本&活用ワザ150)。FreeBSDのマスコットはデーモン君だギャラリー @ From:To:Cc:hosokawa。これをAmazon限定のおまけ付き本として,ベストセラー商品にしたてたのだ。
 お宝不動産の本を多数書き下ろしている沢さんは,メディアを使いこなす意識が高い方だった。当社の場合は,エクセルで不動産投資を行うシミュレーションソフト付きの本を書いていただいたことがある。
エクセルでドカンと築く「お宝不動産」??ダントツ!サラリーマン不動産投資戦略

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 この本のときのAmazonキャンペーンは,未掲載の応用プログラムを仕込んだスペシャル版のワークシートだった。このときはAmazonで総合5位くらいにランクしたと記憶している。つまりなんらかのキャンペーンを行えば,ミクロだけどバーストな効果がAmazonでは得られるのである。
 今回の小悪魔本も,未公開イラスト集や小冊子のダウンロードをサービスしよう,と考えていたところ加藤社長からの提案は,意表を突くものだった。
 「サーバエンジニアだから,ドライバー(ねじ回し)にしましょう」
 近年サーバは,皆さんが思い描くような箱形のパソコンではなく,ブレードという薄型のPCをたくさん1U(19インチラック - Wikipedia)のラックに詰め込むのが主流だ。これらの取り外しや組み立てにはドライバーが必須の道具だ(最近はこれを使わないラックもあるけど)。
 ということで,本の制作の裏側で,加藤社長が動き,ドライバーのプランが着々と進むことになった。

 ところが,Amazonではドライバーの付録を付けられないという問題が発生した。FreeBSD本の件があるので,問題なしと思っていたら,本の付録にもISBNが必要ということになった。Amazonさんも規模が大きくなってシステムがいろいろ変わったのでしょう。当社としては短期間の限定品に対してそこまでのコストはかけれられないので,Amazonさんでの「悪ウサドライバーキャンペーン」は不可能になってしまった。
 どうしたものかと,途方にくれていると光明が……。販促部のTさんの尽力で楽天ブックスさんで引き受けてくれることになった。しかも1000セットである! そんなに注文をいただいていいのか? と思いもしたがヤルしかないと腹をくくった。
 しかし,また問題が発生した。
 「梱包時に他の本を傷つける可能性があるので,箱を付けよ」
 というものだ。たしかに先端が鋭いプラスドライバーである。運送時に飛び出して別の商品に傷を付けたら,問題だ。箱屋さんとつながりがないのだが,仕事をよく御願いしているデザイン事務所さんで,店頭ポップや紙細工の付録を制作しているところを思い出し,御願いすることにした(デザイン事務所はマップスという会社だ)。

 一方,「悪ウサドライバー」のデザインは着々と進行していた。途中で見せていただいたのがこれだ。


 Anexというブランドの製品であるが,もともとある模様をウサギの耳に見立て,顔をプリントするというアイディアだ(ちなみに,この悪ウサキャラクターは,非常に人気がある)。
 ちなみに実物の完成品はこれだ。

 裏側には,しっぽまであるという作り込みが嬉しい一品に仕上がった。

 手に持つと意外に小さいのだが,手のモデルになってくれたアルバイトの女性の手が小さいのであまり比較にならなかったかも(^^;)

 12月の上旬頃までには,ドライバーが完成した。まるで戦場に出るスターシップトルーパーのレギオンのようだ(w)。

 そんなわけで,まだこの話は続きます。

小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 ――インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる

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用紙の決定

 書籍を一つ作るにあたり,楽しいことがいっぱいあるのだけど,そのうちの一つが紙の選定である。本文用紙は編集側が予算と相談の上決めることが多い。カバー用紙も多くの場合,各出版社でデフォルトのものがあると思われる。だいたい上質紙かな。それに対して表面加工を印刷後行うことが多い。PP加工,マット(梨地)PP加工,ニス加工,エンボス加工,などなど表面加工はさまざまだ。PP加工が比較的低価格ゆえ,そして本を守るという本来の意味もありよく選択される。PP加工が一番多いかもしれない。マットPPは若干価格があがる。単体の処理としてはニス加工が一番安い。PP加工は,薄いビニールの膜を貼り付ける。ニスはその名の通り,ニスを塗る。これで紙に強度を与えヨゴレから多少守ってくれるものだ。これは表面加工がされた紙にすると,効果的である。

 ちなみに,マットPPは褪色耐性が多少ある。紫外線が本の敵だ。マットPPは,蛍光系の特色やCMYKのまさにYellow(これを単色で使う編集がたまにいるが論外だ。あっとういまに紫外線にやられて白くなる)の日焼けによる褪色を保護する機能がある。経験的な話なので鵜呑みされると困るが,どうしようもないときは,マットPPの効果をあてにするとよいかも。

 さてさて,小悪魔本のカバーコンセプトの原点は,ティファニーのパッケージだった。白をベースに内側がペパーミントグリーンで,ちょっとページが開いているとグリーンの光が漏れているような感じだ。タイトルロゴもメタルインクか,エンボス加工をする,とまで考えていた。カバーを外すと,皮加工っぽくそしてcoachやルイ・ヴィトンみたいなモノグラム模様をいれた表紙というのまでかんがえていたけど,これらはaicoさんからあっけなく拒否。aicoさん達の世代感覚に合わないというのが一番の理由だ。バブル世代的な豪華さやきらびやかさは,20歳のセンスではないというのだ。
 まさに,

シンプル族の反乱

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である。おじさんセンスではダメだ。と理解した瞬間であった。
 三浦さんの本は,極論とする人も多いかもしれないけど,けっこう役立つ面が多い。世の中を切り取り論じることのほうが,面白いじゃないですか。たとえ仮説であっても。 

 さて,カバー用紙については,簑原氏より以下の提案を受けた。用紙の選択はデザイナーさんの仕事である。製品の仕上がりをコントロールするのはデザイナーさん次第だ。

  1. ミランナチュラル,バラ,あさぎ
  2. ペルーラホワイト
  3. New特レーブル輝きゴールド
  4. ザンダーメタリック FSコスモス

 これらはすべて,見積もりの段階で制作部より許可が下りなかった。4番目のザンダーにいたっては,1冊150円のカバーになるので無理もいいところ。でもこういうチャンスがなければ,なぜダメだかわからないので,制作部に問い合わせることも,面白くてしかたなかった。ザンダーを使う場合,簑原氏の意図は全面にホワイトインクをのせてその上からさらに印字を印刷するという「作品的」な提案だった。なんてアバンギャルドな。
 予算とにらめっこしながら出た簑原氏の提案は,ペルーラ系の紙だった。


 この中の「シャイナー雪」ならば予算オーバーもしないことがわかった。aicoさんにもサンプルを見せて,了解を得た。シャイナー雪は,表面に雪片が乗ったようなキレイな紙だ。白をベースに色が映えるものにしたかったので,これで実現できると安心した。これにニス加工で決まりだ。表面の触感を残したまま,所有していることの満足感もわきでてきそうな感じも大丈夫そうだ。

 本の強度を決める,見返し用紙は,aicoさんが選んだ。薄い黄色・明るいベージュである。

 用紙はタント。ちなみに,折り紙の趣味を持つディレクターズの加藤社長はタントをよく使うということだ(笑。
 
 本文用紙は,ある理由から,アドニスラフWに決めていた。これは当社のThinkMapシリーズで採用されている紙である。手触りがよく,腰があって開きやすく,インクの浸透の具合もシャープで良い。おまけに軽くて気に入っていた。カルチャー系の本を演出する上で非常にマッチした素材感があるのだ。ちなみに,この本で使われている。

ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)

ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)

 用紙選びは,本が本たり得る大事なプロセスだと思う。実用書ならば適したパターンを持っておくとよいと思う。僕の場合は,技術書ならばペガサスハイパーエイトに決めている。軽くて腰があってインクの裏移りがないのがその理由。斤量からすぐに束幅がわかるというのもこの紙の特長だ。毎回用紙を変えるのもいいけど,一つに決めておくと作業がいろいろ楽になるので,お勧めである。

 電子書籍の話が話題になるけど,造本の観点からすれば,電子書籍なんかダメもいいところである。装丁家の意志,本にかける想いを無視しているわけだから,本という名前を名乗らないでほしいと僕は思う。電子書籍は本とは別のメディアなのだ。そう考えれば「電子書籍で一儲けとか」浅はかな欲望にとらわれることもあるまい。

カバーデザインが決定するまで

 本の命はカバーデザインの良し悪しといっても過言ではない。
 いつも細心の注意をはらって,具体化までを行っている。企画が承認されてから直ぐに,デザイナーさんにあらかじめ依頼しておいたので,1回目の打ち合わせ以降,スムースにラフ案を提案いただいた。
 それがこれらだ。

 違うバージョン2本,色違い。黄緑ではなく(特色指定だ),ピンク版の二つである。ピンクも特色指定。縦書きタイトルも新鮮な感じ。手書き風のタイトルフォントの組版が美しくまとまっている。


特色とは,CMYKのインク以外のインク色のこと。DICカラーチップの活躍ポイントだ。こららの画像では,灰色の部分に特色の銀(メタルインク)を指定している。グリーンとピンクは,特色のインクだ。
 特色インクで有名なのは,蛍光ピンクと蛍光グリーンかもしれない。これらは,CMYKのインクを混ぜても絶対にできない色だ。これら二色がもっとも消費されているのは,漫画の表紙ではないだろうか。週刊少年ジャンプの表紙を見れば,毎回蛍光ピンク(業界では蛍ピンと呼ぶ)と蛍光グリーンを使っている。蛍光ピンクは,別のインクと混ぜると肌色がキレイに発色するようになる。そのため,アニメ雑誌などでも多用されている。肌の露出が高い同人誌でも,使っているところはすでに使っているのだ。

 当初,線画イラストを元に上の二点のように,デザイナーさんの意図を中心に装丁する予定だった。基本的には,特色を2色以上使用して,チープ感を一切ださないようにすること,所有する喜びができる,愛着が生まれるパッケージにしようとしていた。
 もちろんそれは商品を開発する以上,プロがカバーデザインを徹頭徹尾作らねばならない,という信念を僕が持っているからなのだけど,今回は違った。というかできなかったのだ。
 小悪魔ちゃんが,こう言ったからだ。

「もしかしたら,二度と本を出版できないかもしれないし・・・・・・」

 正確な台詞は忘れてしまったけど,このような感じだった。これにはやられました。
 じゃあ,小悪魔ちゃんことaicoさんの,やりたいようにやってもらいましょうと,決意したのです。デザイナーさんにも事情を話しつつ,aicoさんの描いたイラストを本の中央にダイタンに使うことになったのです。それがこれ。

 aicoさんからいただいたイラストでは,地球が濃紺のものだった。それをデザイナーさんがカバーデザインに適したアレンジと色調整を行って現在のものになっている。

 これはほぼ最終版。事前予約キャンペーンの都合上,この黄緑帯のバージョンが「楽天ブックス小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる [ aico ])」さんでは使用されている。本番版と色が違うのはそのためである。プリントアウトしてみるとピンクと黄緑のコントラストが美しく,これはハマると思って,もう決定稿!ってしたわけなのだが,本番では特色のブルーになった。これも,aicoさんのお願いを聞きいれたのである。もうラッキーガールの意見に従っちゃうと腹をくくったからだ(でも後から聞いたら,大学のご友人たちの進言だったそうだ)。結果的には,ブルーの特色帯と単純にCMYKのカバーとなった。出来上がりは非常にきれいだったので,一安心した。

 ちなみに,現在Amazonに提示されているカバー画像は,1つ前のバージョンだ。販売されている実物を見てもらうと「魔」の字が違うのがわかるだろうか。ロゴデザインの魔術師蓑原氏のこだわりで,最後の最後の入稿段階で「魔」の字を直したからである。

小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 ――インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる

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 次に書くのは,本文用紙とカバー用紙の決定にしようかな。あとは楽天版の付録についていろいろ打ち明け話を書いてみたい。その前に,ござ先輩と村井先生の帯イラストの話かな。

カバーデザインのこと(その2)

 まったくの持論だが,装丁家はなるべく絵の描ける方がいいと思っている。さらにはグラフィックデザインの経験もある方がいい。もちろん中には例外もあるけどね。
 文字の組み版のプロフェッショナルと,装丁デザインの両立ができる人は本当にスゴイデザイナーだと思う。それゆえ編集の現場では,文字組みのプロとグラフィックのプロを選んで組み合わせて,本の制作を行うことが多い。これは一人に作業を集中させないというリスクヘッジの意味もある。初めてこの業界にはいったとき,カバーデザイナーと本文の組み版デザイナーが違うことに,違和感があったけど,今は分業しているほうがよいと思っている。ごく当たり前のことなのだけどね。
 さて,「小悪魔本」は,中身は繊細な組み版とレイアウトデザインを得意とする女性デザイナーさんに御願いした。これは前にも書いたけどBUCH+の伊勢さん。カバーデザインは,コミックの表紙装丁を多数行っている,しかも週刊漫画雑誌の仕事もしているロケットボムの簑原さんに10月ごろに御願いした。
 最初から,完成のイメージができていたのだ。僕の場合,最初にゴール(完成品の本)のイメージができていることが多い(企画書を書いている段階からかも)。

カバーデザインのこと(その1)

 私はサラリーマン編集者だ。よって,ノルマという責務というか,やらねばならない仕事が平行してある。今日でもアクティブな書籍企画が3つほど動いている。執筆途中のものを入れれば5冊以上になるかもしれない。企画はそれ以上かも。SD本誌の仕事もあるし。
 で小悪魔本の編集作業と平行して,本格的な技術解説本も作っていた。

プロのための Linuxシステム構築・運用技術 (Software Design plus)

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 この本の書評を書いてくださった,ライブドアの伊勢さんhttp://blog.livedoor.jp/koichiise/archives/1361733.htmlは,もともと著者の中井さんのお知り合いで,献本してほしいと依頼を受けた方。まさか小悪魔本でまた献本することになるとは,まったく思いもしなかったわけで,IT業界の狭さを実感。

 閑話休題

 

小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 ――インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる

小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 ――インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる

 この本の企画を考えるにあたり,装丁デザイナーさんは,ロケットボム
http://www.rocketbomb.jp/)の簑原さんにしようと考えた。考えるというよりも決めていたというほうが正しいかもしれない。企画を社内に提案し,決定された直後に簑原さんに連絡をとり,こういうブログを書籍化するのでカバーデザインを考えておいてほしいと御願いした。
 編集の仕事にとって,カバーを先に作るか,後に作るかという問題がある。僕は圧倒的に「カバーデザインが先」を支持する。いろいろなメリットがあるけど,カバーだけでも,とにかくそれが存在すれば注文がとれる,というのが最大の理由だ。
 あと後々,企画の軸がぶれないためにも,先に作ってしまったほうがいいのだ。多くの「新人」編集は,本文が出来てから,外見を考えればいいやと思いがちだけど,イメージが決まっていないのならば,まずはカバーデザインからはいったほうがいい。編集者は作品を作るのではなく,商品を作るのが仕事なのだ。商品は見た目が命なのは言うまでもない。お客さんが手にとったときに,ちゃんとメッセージが伝わるにはどうしたらよいのか,そこから逆算してカバーデザインを考えてほしい。
 絵を直接描くことはしなくてもいいけど,絵が下手だったら,ワードやエクセルの描画機能を使って,デザイナーさんにイメージを伝えるなど,やり方はいくらでもある。デザイナーさん任せにするのではなく,手を動かしてレイアウトを作ることを最初は何度もやってほしい。 といつも僕は考えているのだった。

村井先生にお会いするの巻

 10月某日。監修の御願いをするために,加藤社長,aicoさん,私で六本木の某所に向かった。
 当初,慶応大SFCで打ち合わせできればと思い,藤沢は遠いよな〜なんて気楽に考えていたらヒルズの某所が指定。イメージが湧かないような場所だった。事前にストリートビューで調べてもよくわからん。

 もともと,小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記に村井先生がコメントを書き込まれたということも,驚きだっけど,IIJJPRSなどなど知りうる人脈を頼って第一人者に監修を御願いするつもりではいたのだけど,まさか「インターネットの父」村井先生に監修を依頼することになるとは,自分でもかなり怖じ気づいていた(正直なところ,そこまでやらなぁ,あかんと)。
 しかしながら,村井先生に監修依頼のメールを送ると,わずか数分で快諾のメールが届いてさらに驚く(なんてフランクで良い先生なのだ!)。あとは秘書に任せた……ということで事は進むことになった(なんてとんとん拍子だ!)。

 ということで,面談当日を迎えることに。このあたりは,小悪魔ブログでの表現のママです小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 » Blog Archive » 村井先生に会ってきました!(こあくまちゃんができるまでその5)
 村井先生からの質問で印象的だったのは,この本asin:477414522Xは誰が読むのか,ということ。非常にマーケティングを気にされていたことだった。純粋な科学者・技術者のイメージが強かっただけに意外だった。同業他社(インプレスさん)ともつながりが深いという話もお聞きして,つながりの世界なのだなと思った。人材の育成という視点でも事業を展開しているのがよくわかったのだった。

 面談中は,こちらもかなり緊張してしまったのだけど,村井先生は堂々としていて非常にフランク。aicoさんへの視点は,孫を見るそれに近いかったかもしれない(汗。僕は冷や汗が止まらなかったけど。
 改めて,監修について快諾をいただき,ほっとしたところで写真撮影。これはSDの4月号でも使用している写真だ。

 aicoさんの満面の笑みをお見せできないのが非常に残念。
 編集の仕事をやっていてこういう現場にあうことができて,ほんとうに嬉しい瞬間でもありました。
 ここで,推薦文とカバーでの「むらいじゅんウサギ」イラストのお約束をいただいた。