カバーデザインが決定するまで

 本の命はカバーデザインの良し悪しといっても過言ではない。
 いつも細心の注意をはらって,具体化までを行っている。企画が承認されてから直ぐに,デザイナーさんにあらかじめ依頼しておいたので,1回目の打ち合わせ以降,スムースにラフ案を提案いただいた。
 それがこれらだ。

 違うバージョン2本,色違い。黄緑ではなく(特色指定だ),ピンク版の二つである。ピンクも特色指定。縦書きタイトルも新鮮な感じ。手書き風のタイトルフォントの組版が美しくまとまっている。


特色とは,CMYKのインク以外のインク色のこと。DICカラーチップの活躍ポイントだ。こららの画像では,灰色の部分に特色の銀(メタルインク)を指定している。グリーンとピンクは,特色のインクだ。
 特色インクで有名なのは,蛍光ピンクと蛍光グリーンかもしれない。これらは,CMYKのインクを混ぜても絶対にできない色だ。これら二色がもっとも消費されているのは,漫画の表紙ではないだろうか。週刊少年ジャンプの表紙を見れば,毎回蛍光ピンク(業界では蛍ピンと呼ぶ)と蛍光グリーンを使っている。蛍光ピンクは,別のインクと混ぜると肌色がキレイに発色するようになる。そのため,アニメ雑誌などでも多用されている。肌の露出が高い同人誌でも,使っているところはすでに使っているのだ。

 当初,線画イラストを元に上の二点のように,デザイナーさんの意図を中心に装丁する予定だった。基本的には,特色を2色以上使用して,チープ感を一切ださないようにすること,所有する喜びができる,愛着が生まれるパッケージにしようとしていた。
 もちろんそれは商品を開発する以上,プロがカバーデザインを徹頭徹尾作らねばならない,という信念を僕が持っているからなのだけど,今回は違った。というかできなかったのだ。
 小悪魔ちゃんが,こう言ったからだ。

「もしかしたら,二度と本を出版できないかもしれないし・・・・・・」

 正確な台詞は忘れてしまったけど,このような感じだった。これにはやられました。
 じゃあ,小悪魔ちゃんことaicoさんの,やりたいようにやってもらいましょうと,決意したのです。デザイナーさんにも事情を話しつつ,aicoさんの描いたイラストを本の中央にダイタンに使うことになったのです。それがこれ。

 aicoさんからいただいたイラストでは,地球が濃紺のものだった。それをデザイナーさんがカバーデザインに適したアレンジと色調整を行って現在のものになっている。

 これはほぼ最終版。事前予約キャンペーンの都合上,この黄緑帯のバージョンが「楽天ブックス小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる [ aico ])」さんでは使用されている。本番版と色が違うのはそのためである。プリントアウトしてみるとピンクと黄緑のコントラストが美しく,これはハマると思って,もう決定稿!ってしたわけなのだが,本番では特色のブルーになった。これも,aicoさんのお願いを聞きいれたのである。もうラッキーガールの意見に従っちゃうと腹をくくったからだ(でも後から聞いたら,大学のご友人たちの進言だったそうだ)。結果的には,ブルーの特色帯と単純にCMYKのカバーとなった。出来上がりは非常にきれいだったので,一安心した。

 ちなみに,現在Amazonに提示されているカバー画像は,1つ前のバージョンだ。販売されている実物を見てもらうと「魔」の字が違うのがわかるだろうか。ロゴデザインの魔術師蓑原氏のこだわりで,最後の最後の入稿段階で「魔」の字を直したからである。

小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記 ――インターネットやサーバのしくみが楽しくわかる

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 次に書くのは,本文用紙とカバー用紙の決定にしようかな。あとは楽天版の付録についていろいろ打ち明け話を書いてみたい。その前に,ござ先輩と村井先生の帯イラストの話かな。